第68章 横尾孝人、お前もふさわしいのか?

横尾孝人は、こんな夜更けに南雲玲奈が押しかけてきた理由が、まさかこの件だとは思っていなかった。

これまで彼が書斎で仕事をしていると、彼女はたいてい体に良い薬膳か、果物を持ってくるだけだった。

それが今日はどうだ。剣呑な空気をまとい、真正面から噛みつく勢い。

横尾孝人は形のいい眉をきゅっと落とし、瞳に冷たい光を走らせた。胸の奥で燻っていた苛立ちが、じわりと火を噴く。

南雲玲奈は無表情のまま、鋭い視線を向けてくる。

目が合っても、そこにあるのは淡々とした冷えだけ。温もりも、愛情も、もう欠片もない。

――なんだ、これ。

理由は分からないのに、やけに腹が立つ。

同時に、横尾孝人ははっ...

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